外注費と給与の境界線

中小企業や個人事業で必ず出てくるのが、
「これは外注費でいいのか?給与と見なされないか?」
という問題です。

外注費として処理したものが給与扱いになると、消費税の追徴(一般課税の場合に消費税の仕入れ税額控除が認められない)、源泉所得税の追徴、社会保険料の問題など、会社に大きなリスクが生じます。

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見るのは“実態”

業務委託契約を結んでいても、税務上は「実態がどうか」で判断します(契約書も一つの判断材料です)。

主に次のような点が重視されます(これがすべてではありませんが)。

  • 出勤時間や作業手順の指示があるか(指揮命令関係)
  • パソコンや道具などを会社が支給していないか
  • 本人以外が作業しても問題ないか(代替性)
  • 報酬が時間計算ではなく成果物ベースか
  • 成果物を引き渡して初めて報酬を受け取れる契約か

これらの状況から「従業員に近い」と判断されると外注費から給与認定される可能性が高くなります。

外注先が「事業として申告しているか

逆に外注側が次の状態だと外注費と考えうる判断材料が多いと言えます。

  • 開業届を提出して事業者になっている
  • 青色申告(または白色)で事業所得として申告している
  • その事業の売上が複数の取引先から発生している
  • 自分の道具で仕事をしている

元調査官としての実感ですが、
外注側が事業として申告していると、当然ながら“その人は独立した事業者”という前提が働きやすいです。
※外注先が申告しているから絶対大丈夫とはなりません。

逆に外注先が申告していない・その会社1社だけが収入源という場合は、給与認定されやすくなります。

安全性を高めるためのポイント

給与として認定されるリスクを減らすための実務的な対策としては

  • 契約書に「業務の進め方は外注先の裁量」「成果物に対して支払う」などを明記
  • 外注先が作成した請求書・納品書を受け取って必ず残す
  • 道具や備品は基本的に外注先が用意
  • 外注先が事業として申告していることを確認

外注・給与の境界線は曖昧ですが、
実態+外注先の独立性をしっかり説明できるように整えておくことで、調査でのリスクは大きく下がります。

外注費か給与かについての一般的な論点と個人的な考えを述べてみました。

これさえ満たせば絶対大丈夫という基準はありませんので、きちんと相手先の状況を確認し、判断に迷う場合には専門家に相談の上、慎重に処理することをおすすめします。

【編集後記】

図書館へ行き、近々行く予定の旅先のガイドブックをいくつか借りてきました。

【1日1新】

・チョコレートバー カリッとアーモンド

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