暗号資産の税務

つみたて投資枠の年齢制限引下げともうひとつ、実現した場合には大きな改正になるのではないかと考えているものがあります。
個人の「暗号資産」に関する課税です。

ビットコインについても、最近は以前ほど騒がれなくなったと感じています。
ある意味では、投機的な対象から投資商品に近づいてきたということなのかもしれません。

目次

「総合課税」から「分離課税」へ

今回の与党税制改正大綱案では、個人がビットコイン等の暗号資産について、特定の企業(金融商品取扱業者)を通じて売買したものについて、これまで「総合課税」で取り扱われてきたものを、「分離課税」に変更することが検討されています。

現在、個人の暗号資産の売買に係る所得(売買以外にも課税されるタイミングがあります)については、税務上、原則として「総合課税」のうち「雑所得」として扱われています。
給与所得や事業所得など、他の所得がある場合には、それらと合算して税額が計算される仕組みです。

総合課税の税率は5%から45%で、これに加えて住民税も課税されるため、結果として非常に高い税率になるケースもあります。

一方、株式や投資信託については分離課税とされており、所得税と住民税を合わせた税率は20.315%です。
今回の改正案が実現すれば、暗号資産についても、これらと同様の取扱いになるということになります。

損失の繰越も可能に

また、損失の繰越についても、株式や投資信託の売却と同様に認められる方向で検討されているようです。
これらの改正は、長年にわたり業界から要望されてきた内容でもあり、「ようやく」と感じる方も多いかもしれません。

これらの改正が現実のものとなれば、暗号資産を投資対象として考える際の使い勝手は、確かに良くなると思います。
やはり、総合課税の最高税率は相当に高いです。

現在、暗号資産を保有している方の中には、分離課税が適用されるまでは売却を見送ろうと考えている方もいらっしゃるかもしれません。

投資商品としてどうか

もっとも、税制上の取扱いが改善されたとしても、暗号資産が投資すべき対象かどうかは、また別の問題だと考えています。

私も少額ですが暗号資産を保有しています。
ただし、投資対象として長期的に信頼できる価値があるかという点については、以前から疑問を持っています。

株式には長い歴史があり、投資対象となる会社の所有権を持ち、利益の一部を受け取る権利があります。
また、その会社の将来を決める株主総会における議決権もあります。

暗号資産にはこうした権利はありません。
多くの人が「価値がある」と信じているから価値がある、という側面が大きいのではないかと感じています。
その点では、ある意味、貨幣と似た性質ではないかと思っています。

暗号資産に関する税制改正については、つみたて投資枠の年齢制限引下げとは異なり、2028年からの施行を予定した改正案とされています。

この改正案についても、今後どのような形で具体化していくのかをチェックしつつ、案が実現するかどうかにかかわらず、自分自身で決めた投資方針を続けていくことが重要ではないかと考えています。

なお、実際に暗号資産の売買や申告を検討・実行される際には、税理士に直接ご相談のうえで判断いただくようお願いします。

【編集後記】

年明け以降の打ち合わせを行ったあと、冬休みに入った子どもとランチに。
午後からは、次の執筆に向けた具体的な内容とプランニング。

【1日1新】

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