紹介を受けてデパートの中の画廊で開かれている展覧会に行ってきました。絵画や美術品には縁のない人生でしたので、知らない世界に触れることができました。美術館ではなくデパートの中の画廊でしたので展覧会の会場付近ではたくさんの絵画や美術品が商品として販売されていました。
恐る恐る値段を見てみると、下は数万円単位から上はものすごく高額なものまでさまざまな値段がつけられていて、二重の驚きでした。
それを受けて、今日は絵画などの美術品についての税務上のルールについてご紹介します。
減価償却できる?できない?
法人が絵画などの美術品を購入した場合、会計上は「固定資産」になります。
通常事業で使う固定資産はその金額が少額な場合などを除いて減価償却という手続きを行って、購入した金額を少しずつ経費に計上していきます。原則一度に経費にはできません。
さらに、絵画は固定資産ですが、必ず減価償却できるわけではありません。
- 価値が減らないと考えられる絵画、美術品 → 減価償却しない(できない)
- 時間の経過や使用で価値が減る絵画 、美術品→ 減価償却できる
という仕組みになっているので注意が必要です。
価値が減らないと考えられるものの場合には所有しているかぎり経費にはできず、売却したときに初めて、購入した金額との差があれば、利益か損失を計上することになります。
100万円基準
法律には直接書かれていませんが、国税庁の通達(国税の中でのルールで法律ではないが、通常これに従って処理する)というものがあり
・取得金額が1点100万円未満の美術品は原則として「価値が減るもの」として扱い、減価償却してよい資産
・一方で100万円以上の美術品は「価値が減らない可能性が高い」とされ、減価償却しない資産
※ただし用途・実態により償却できる場合もある
とされています。
税務調査で確認されやすいポイント
税務調査では、本当に価値が減る美術品なのか? を重点的に確認されます。
特に次の点がチェックされやすいです。
用途(何のために購入したか)
- ただ飾っているだけなのか
- 展示会で使用するのか
- 移動が多く劣化の可能性があるか
購入価額・書類
- 領収書や契約書の保管
- 100万円以上か未満か(通達基準の確認)
作者・作品情報
- 原画か複製か
- 著名性(市場価値の判断)
保存状況・管理状況
- 劣化する場所に置かれていないか
特に 100万円以上の美術品を減価償却しているケースは重点的に確認されますので注意が必要です。
平日昼間でも結構な人数が画廊にはいらっしゃいました。会社の資産として美術品を購入する場合の税務の取扱いにもご注意いただければと思います。
【編集後記】
日本橋の三越本店へ行き展覧会を見学。帰宅後はホームページの更新と執筆作業。
【1日1新】
- 日本橋三越本店