お金を返せるか
銀行の融資審査で最も重視されるのは、事業が継続し、返済原資が確保できるかという点です。
売上・利益の推移、粗利率、固定費の構造、既存借入の返済状況といった数字から判断していきます。実際に自分で借入を体験してみても、重要な点は変わっていないように感じます。
独立当初で言えば、過去の経営実績はないので、創業計画書・事業計画書を基に判断されます。
創業期は数字が計画どおりに動かないことが多く、審査側もその前提を持っています。
だからこそ、大きな売上を掲げることよりも、
- 固定費をどのように抑えるか
- 顧客をどう獲得していくか
- 既に取り組んでいる準備は何か
こうした現実的な説明が、返済可能性の判断材料として大きく作用します。
事業計画書の重要な点
創業時の融資審査では創業計画書・事業計画書を提出しますが、審査の現場では数字そのものよりも、数字の“根拠”が重要です。
銀行で審査をしていた頃も、事業計画書に書かれた売上予測だけを見て判断することはありませんでした。
むしろ、事業者の方がどれだけ地に足のついた準備をしているかを確認していました。
- 小規模でも既に実績がある
- 初期費用を抑える工夫がある
- 自己資金や余剰資金が多くある
こうした準備がある方は、計画の信頼性が大きく高まります。
逆に、根拠が弱いまま大きな数字を掲げても、審査では評価されにくくなります。
事業計画書の重要な点は
- 数字の裏付け
- 実現可能性
- 創業者自身の強み
この3点です。多少控えめな計画でも、ここがしっかりしていれば、審査は前向きに進むことが多いのではないかと思います。
継続して付き合えるか
融資審査は、可否の判断だけが目的ではありません。
銀行にとって融資は取引のスタートであり、その後の安定した返済を見据えて判断しています。
銀行に勤めていた頃、印象に残っているのは、融資後も丁寧に連絡をくださる事業者の方々でした。
決算内容や事業の状況を簡潔に共有していただくだけでも、安心してお付き合いできると感じることが多かったです。
反対に
- 必要書類が揃わない
- 説明が後手に回る
- 情報が不十分なまま進む
といった場合には、審査は慎重にならざるを得ません。これは銀行側の都合ではなく、融資後の支援やリスク管理まで含めて判断するためです。
銀行との関係は融資で終わりではなく、そこから始まるものです。
特別なことをする必要はありませんが、情報を整理し、必要な資料を整えておくだけで、銀行側の印象は大きく変わります。
事業を円滑にスタートさせるためにも、銀行からの視点も頭に入れて事業計画書・創業計画書を作成いただくことをおすすめします。
ひとりでは不安に感じる場合には、知識や経験のある専門家に相談いただくこともご検討いただければと思います。
【編集後記】
打合せ後、役所関係の手続き、会計ソフトの入力作業
【1日1新】
- e-Tax(Web版)での請求手続き