税理士になるために税務署へ行く?

先日税理士試験の合格発表がありました。知り合いの方も結果を出していたので良かったです。

私自身は国税在職中に会計科目に合格し、税法科目については国税の実務経験を基に免除を受けました。国税の職場に行く際の職場説明会でも税理士資格がもらえることを国税の職場のメリットとして紹介していました。
税理士資格を得るための通常のルートは試験に5科目合格すること、もしくは一部科目について大学院で免除を受けることでしょうか。
今日は、税理士になるために税務署に行くべきかというテーマについて。

目次

税理士試験の免除制度

まず前提として、税務署で働くことで、税理士試験の一部が免除される制度があります。

  • 税法科目は10年で免除
    国税の実務を10年以上経験すると、税法に関する科目が免除されます(正確には国税に関する科目)
  • 23年で全科目免除
    23年勤務すると、会計・税法すべての科目が免除され、試験なしで税理士資格を得られます(正確には研修で所定の成績を修める必要がありますが、受からせる前提の研修なので税理士試験に合格することに比べれば難易度はとてもやさしいと思います)。

「試験が苦手だから実務一本でいきたい」という方には一つの選択肢になりえるかもしれません。

税務署の経験は積めるけど

税務署で働くことには一定の意義があると思います。
調査の流れ、帳簿の見方、申告書を見る目、納税者との対応……。
課税する側の考え方、組織の動き方を実体験として知ることもできます。

私は11年間、ほぼ調査を中心に経験してきましたが、外に出た今でも「税務署にいたことに一定の意味はあった」とは思っています。

ただ、時間がかかりすぎると思います。

職場環境も特殊ですし、異動も多く、税務調査・徴収・管理・総務など業務は幅広く、徴収・管理・総務事務の場合には税法免除の年数として換算される年数が2/3となります。徴収部門だけの経歴の場合には15年経たないと税法免除になりません。
23年の免除は業務による換算はないはずです。

おすすめはできない

結論からいうと、「税理士になるため」だけを目的に税務署に行くことはおすすめしません。

理由は

  • 時間がかかりすぎる(10年や23年という単位)
  • 税理士として独立するためのスキルが直接身につくわけではない

からです。

もちろん、「税務署で働きたい」「公務員としてのキャリアを積みたい」という思いがあるなら話は別です。
その上で、結果的に税理士資格も取れたら…というスタンスなら良い選択肢かもしれません。

ただ、実際に定年を待たずして退職し、税理士になる方はかなり少数派です。心理的にもハードルがあるのは身をもって実感しています。

税理士になるために税務署へ行くことについての私なりの考えを書きました。もし検討されている方がいれば、参考にしていただければと思います。

【編集後記】

子どもの習い事の送迎後、サッカー観戦でした。

【1日1新】

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